咀嚼や嚥下機能が低下している高齢者にとって口から食事をとるのは難しく、栄養不足になりがちです。また、全身状態だけでなく認知機能の低下をもたらすことが指摘されています。それは高齢の入院患者さんも同じで、経口摂取不良により入院が長期化してしまうことが問題となっています。
当院ではそのような状態を改善しようと、経口摂取能力の改善のために開発された栄養評価ツール「KT(口から食べる)バランスチャート」を活用した栄養サポートチーム(以下NST)の取り組みをスタート。チームの介入後は経口摂取量が増え、なかでも患者さんの活動の評価項目が有意に上がるなど総体的に改善されました。
今年4月、当時当院に赴任されていた日高敬文医師がこの一部をまとめた論文が海外の雑誌『World Journal of Surgical Oncology」に掲載され、今回また、高齢入院患者の経口摂取量改善に向けた取り組みが臨床栄養の総合雑誌『臨床栄養』最新号(9月号)に取り上げられました。
チームメンバーである栄養管理室室長、渡邉里美さんにコメントをいただきました。
「NST委員会を立ち上げてから十数年経ちますが、ここ近年は通常業務の多忙などを理由に活動が滞っていました。昨年赴任された日高医師がチームメンバーとして加わり、KTバランスチャートの活用をご指導していただいたことで、目に見える効果を得ることができました。残念ながら日高先生は昨年度末で退職されましたが、これからも入院患者様の栄養状態の改善に向けた取り組みを継続していきたいと思います。」
NSTの前向きな活動が高く評価されたことは、当院にとっても大変名誉なことであり、職員への励みになります。今回の取り組みに関わられたチームの皆さんに心から感謝いたします。