種子島には“大的始め”という伝統行事があります。
毎年1月11日に栖林神社で厳かに行われる弓道の儀式で、鹿児島県の無形民俗文化財に指定されています。種子島家に代々伝わる儀式で500年以上前の室町時代から続いており、その年の悪魔災難を祓い清め、島の安泰と五穀豊穣を願う儀式です。
また、この儀式の風に当たると一年間風邪をひかなくなると言われています。
大的始めでは、6人の射手(弓を引く人)が大的に向かって、合計36本の矢を放ちます。大的というだけあって普通なら外れることはない的の大きさですが、最後の一本だけは故意に外されます。これは“満つれば欠くる”という戒めによるものです。
“満つれば欠くる”とは「月は満月になるとともに欠け始め、ほどなく三日月から新月となるように、物事は絶頂期に達すると同時に下り坂になるのが世の道理である」という意味で、つまり“良いことばかりは続かない”という教えです。
私は、そんな大切な教えを含む儀式である大的始めが、ここ種子島で続いていることをとても尊く誇らしく感じます。
皆さんも分かっていると思います。
物事は良い時もあれば悪い時もあるのです。
仕事でも順調だったものが、うまく行かなくなる時があります。
企業でも業績が良い時もあれば悪い時もあります。
新しいものもいつかは古くなります。
体調も良かったり悪かったりもします。
人と出会うといつかは別れが来ます。
そして、人は生まれるといつかはあの世に行きます。
それは、何のせいでも誰のせいでもありません。
大切なのは、悪いことがあっても腐らないことです。
そして、私たちが何のために仕事をしているかを忘れずに、日々の業務と向き合っていくことだと思います。
何のために?
もちろん、それは“島民の皆様に愛され信頼される病院”になるためです。
*今年の大的始めにも、当院から薬剤部の谷純一さんが射手として参加されます。
今年一年のみなさんの健康を祈りつつ、私も行ってみたいと思います。
令和8年1月
理事長 田上 寛容