今回の解散総選挙が衆議院議員任期満了近くまで延びた理由は新型コロナウイルスの感染拡大が大きく、これまでに解散権を行使することが無理だったからと言われています。今回の解散をあえて命名するなら、「新型コロナ解散」という評論家もいました。奇しくも投票日がハロウィンの日と重なったのですが・・・。
ハロウィンの日を投票日に選んだのは岸田総理ですが、ハロウィン効果も無く与野党の決定的な争点が不明瞭だったように思いますがどうでしょうか。野党にとっては満を持しての選挙だと思われたのですが・・・。政権奪取とはならずとも議席数の躍進ぐらいはと思った人は多かったに違いありません。確かに議席を大きく伸ばした党はありましたが、与党は何とか過半数を確保し批判票を最小限に押さえ込んだかのように見えます。やっぱりと言うべきか、「大山鳴動して鼠一匹」でしょうか。むしろ、注目されたのは京王線での電車内殺傷事件だったと言えます。なぜハロウィンの日を選んだのか? アカデミー賞受賞作品の『ジョーカー』を観たときに真似をする若者が現れるのでは・・・と危惧したことを覚えています。
ハロウィンの仮装と言えば、私が滞在していた1992年10月17日にはアメリカ合衆国ルイジアナ州で、ハロウィンの仮装をして他人宅を訪れた16歳の日本人留学生が射殺される事件が発生しました(日本人留学生射殺事件)。そのとき、日本の総理は抗議をしませんでした。米国内でも賛否両論あったにもかかわらず・・です。残念なことです。今、日本ではハロウィン仮装の若者が増えていますが、ハロウィンの歴史を知ると、単純に楽しむ? ことに疑問を持つ人も多くいるのではないでしょうか。
さて、総選挙が終わり、コロナの第5波も収まり全国的に解放された気分となっていますが、果たして手放しで喜べるのか・・・。政治はさておきコロナ感染第6波あるいはインフルエンザのリスクが高くなっている可能性があります。どちらが流行るのかは予測が難しく、両方への対応が必要と思われます。
種子島でのコロナ対応には感染拡大の初期から本医療センターが大きく関わってきました。PCR検査機器の早期導入、院内感染防御のための発熱外来の2段階設置(玄関前設置と一軒家の活用)、コロナ病棟の設置、ゾーニングそしてコロナ対応訓練と教育を継続しています。さて、問題はこれからどうなるのか? 誰にも予測できない近未来に私たちは備えなければならないのです。
私は想定外のことが起こると覚悟しています。その時こそ、私たちの適切な役割と対応で種子島にとって良い結果になることを望んでいます。緊張感を保ちながらwithコロナの時代を過ごしましょう。
病院長 髙尾 尊身