今、私たちはインフルエンザ大流行の真っ只中にいます。
日本では過去最高の発症数となっていますが、米国でも大流行しており数多くの死者が報告されています。
世界的な流行となっており、WHOがパンデミックとして認定するかも知れません。
なお、九州では鹿児島県が第1位の発症率です。
本院でも患者さんは元より、多くの職員が罹患しました。
なぜこのような大流行になったのでしょうか?
そこでスペインかぜについて調べてみました。
スペインかぜ(A/H1N1亜型)は、記録にある限り、人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)です。
1918年から19年にかけ全世界的に流行し、感染者は約5億人以上、死者は5,000万人から1億人に及び、当時の全人類の約3割近くがスペインかぜに感染したそうです。
日本では、当時の人口5,500万人に対し39万人が死亡、米国でも50万人の死亡が報告されています。
スペインかぜという名称は、第一次世界大戦時に中立国であったため、情報統制がされていなかったスペインでの流行が大きく報じられたことから名付けられたそうです。
また、最初に医療従事者の感染が多く、医療体制が崩壊してしまったため被害が拡大したとされています。
この経緯を教訓とし、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1pdm09型)によるパンデミックの際にはワクチンを医療従事者に優先接種することになりました。
スペインかぜでは犠牲者が主に若い健康な成人でした。人類の医学史上、最も大きな謎の一つとされたのですが、答えは、1889年以降に生まれた人々は、1918年に流行した種類のインフルエンザウイルスを子どもの頃に経験(曝露)していなかったため、すなわち免疫を獲得していなかったためでした。
感染症に対する最も有効な防御法は免疫だったのです。
今日、私たちはワクチン接種による免疫獲得の恩恵を受けています。
そうは言っても、高齢者インフルエンザの対応は易しくありません。
今冬、本院では院内感染対策委員会の遠藤検査部室長や下江感染症認定看護師らを中心として高齢者のインフルエンザ対応を試みました。
その結果はこれからの感染症対策の貴重な経験となるでしょう。私たちの病院が感染症対応について免疫力を高めたと言っていいのかも知れません。
種子島特有の北西の風が冷たく厳しい季節ですが、この島の医療を支える熱い情熱で2月を乗り切って頂きたいと思います。
今月もよろしくお願いします。
髙尾 尊身