2月朝礼講話―君子、未萌に見る―

 

寒い日が続いていますが、今年になってすでに1ヵ月が過ぎました。私にとって種子島の冬は2度目の経験ですが、想定外の寒さです。しかし、これからは1日1日が春に近づいていくと思えば嬉しくなり、寒い冬を経験することもまんざらではないなと思っているところです。先週は、非常電源の取り換え作業がありましたが、皆さんの協力で無事終えることが出来ました。有難うございました。

 

さて、先般、櫻井美鈴さんの講演がありました。「へいじろう」でも紹介されています。順天堂大学付属病院の看護部長さらに文部科学省や看護協会で要職を務めた中種子出身の方です。私は出張のため残念ながら聞けなかったのですが、お話の内容には大変興味を持っていました。

 

講演の中で、リーダーシップに関する話があったそうですが、覚えていますか?その時の配布資料「リーダーシップの神髄」(致知より引用)は興味深く、中でも「君子、未萌に見る」と「君子、時中す」は印象的な言葉です(3500年前、縄文時代の晩期。東洋最古の古典『易経』より引用)。

前者は、まだ事が起こらない前に。その前兆を察知して手を打つことですし、後者は、時にあたってその時に適ったことをする意味です。私どもが患者様の診療・看護の際、常に肝に銘じるべきことを簡潔に述べた言葉です。さらに、リーダーには「真摯さ」が絶対条件であると断言しています。

 

ドラッカーによると「日頃言っていることを昇格人事に反映させなければ、 優れた組織をつくることはできない。 本気なことを示す決定打は、人事において、 断固、人格的な真摯さを評価することである。 なぜなら、リーダシップが発揮されるのは、人格においてだからである」 (ドラッカー名著集②『現代の経営』[上]より引用)とあります。

 

私は、リーダーは必ずしも組織やグループの長に限らず、各個人がリーダーであると考えています。家庭では父親あるいは母親としてのリーダーシップが発揮されてこそ家庭が成立すると思います。病院では各部署にリーダーシップが求められる役職が配置されていますが、役職だけでは組織は動きません。良質な医療には、一人一人の判断、すなわち、「君子、未萌に見る」と「君子、時中す」が大切です。例えば、救急患者の場合には、その時に対応した人がリーダーシップを発揮しなければ救命は出来ません。

 

昨日(2月1日)辞令交付をされた新しい役職の方々をはじめ私たち全員で「真摯」な診療と看護を推進し2月を乗り切りましょう。

 

髙尾 尊身