9月講話  私たちの医療は眠らない

9月は救急月間です。心臓や呼吸が停止している場合、そのまま放置しておくと人は間違いなく死亡します。私たちがその場に居合わせた時、人の命を救う勇気を持って、躊躇せずに救命手当を実施することが必要不可欠です。

 

救急救命には、状況をすばやく察知する観察力と冷静な判断力、それを的確に実行できる行動力が必要です。また、「何としても患者さんを助けたい」という強い使命感と責任感、熱い気持ちを持って仕事ができること、そして胆力も必要です。

 

種子島の救急医療を一手に引き受けているのが本センターであり、救急患者への対応レベルは離島医療としては標準以上です。種子島では高齢者の救急患者搬送が多く、緊急手術、血管内治療あるいは三次救急医療機関へのヘリ搬送を決めるトリアージなどが、担当チームによって適切に行われています。そのため、種子島の救命率は極めて高く維持されています。

 

また、種子島医療センターでは救急救命士の育成に必要な救急外来業務や呼吸確保のための気管チューブ挿管実技などを行い、これまでに熊毛郡の多くの救急救命士の育成に貢献しています。

 

救急救命士は、基本的に医師不在の救急現場で活動し、搬送される途中の傷病者に救急救命処置を施すスペシャリストです。 具体的には、現場での救出・救助の後、医療機関への搬送を担当し、この間、救急現場で必要な医療行為を行います。心肺停止例の場合、医師の指示に基づき、電気的除細動や気道確保、静脈確保と輸液等々の救急救命処置を行っています。

 

種子島医療センターと救急救命士との緊密な連携が、365日、24時間、種子島の救急医療を支えています。

 

私たちの医療は眠らずに動いているのです。深夜に救急車の音を耳にしたら「眠らない病院」で働く医療者を思い出してください。そこでは病気との戦いが繰り広げられています。

 

病院長 髙尾 尊身