10月講話  種子島医療は今の時代に本当に合っているのか?

 

石破茂首相は、新内閣発足に伴い「5つの守る」を実現すると掲げ、その一つ「国民を守る」では、「今の時代に合っているのか」と問いかけ、医療、年金、社会保障の見直しに着手すると表明した。

 

その背景として、自民党政治は、予測できた少子高齢化社会に対して何ら対策も取らず、社会保障を疲弊させた。財源になるはずだった消費税の大部分を他の財源補填に転用し、医療費の自己負担増と年金減。働き方改革では医療従事者だけに留まらず患者さんへの負担こそあれ改善に乏しく、コロナ禍が終わったら診療報酬削減による医療機関への経営圧迫。まずは、自民党が今の時代に合っているのか?が問われるべきだろう。

 

その上で、種子島医療が今の時代に合っているのか?を考えてみたい。

 

高齢化率40%の離島医療は、未来の我が国の医療の縮図でもある。すなわち高齢者救急が増加する結果、高齢者の緊急手術の増加が予測され、これからの医療の難しさを示している。

 

本院では、外科系ならびに麻酔科のドクターおよび手術室職員らの強烈な使命感と努力、さらに技術力によって、高齢者緊急手術の大半が迅速に行われている。術後のケアはリハビリテーションがその役目を引き継ぐ。80~90歳台の超高齢者が手術から回復、そして社会復帰できるかは、リハビリ効果に係っていると言っても過言ではない。

 

本院では、すべての救急症例を受入れ、中でも高齢者の緊急医療が毎日進行中である。のどかな離島医療を夢想している人々には想像もつかない世界である。

 

高齢者に対する医療が中心となる今の時代、とくに高齢者を救うか否かは救急医療のレベルに依存している。離島の急性期医療に必要なことは、医療従事者個々の使命感、熱意、向上心、技術力そして何よりも「やりがい」が感じられることである。

 

我々は、今の時代に合った急性期医療を遂行していると思うが、どうだろう。

 

病院長 髙尾 尊身