11月講話  SHOGUN(家康)と衆議院選挙

 

衆院選は、自民党の単独与党は疎か、公明党との連立与党も過半数割れでひとまず終焉した。時代の流れなのか、有権者が時代を変えたのか? 一方、候補者たちがお題目のように唱えていた「政治改革」「減税」「教育無償化」はどうなるのか? 私たちは目を凝らして注視しなければならない。

 

私は歴史物に興味があり、昔の英雄や偉人が現代に現れたら何を思い、どのように行動するか、などを考えたりする。

 

米テレビ界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞(授賞式9月15日)は、日本にとって正に衝撃だった。TVドラマシリーズの作品賞に「SHOGUN将軍」が選ばれ、同作品から真田広之さんが主演男優賞、アンナ・サワイさんが主演女優賞を受賞するなど史上最多の18冠に輝いた。

 

「SHOGUN」は徳川家康をモデルにした関ヶ原の戦い前夜が舞台となっている。

その家康が今の日本にタイムスリップしたら・・・。

 

まず、徳川時代が続いていないことに落胆するだろう。また、太平洋戦争の敗北と原爆投下を受けた日本、その後の復興とDXが進む現在、さらに宇宙を目指すロケットが、家康もよく知る鉄砲伝来の島で打ち上げられていることに驚嘆するだろう。

 

衆院選は戦国時代であれば「関ヶ原の戦い」かも知れない。日本随一の権力者であった家康は、国民が選挙を通して権力を選ぶことをどう思うだろう。不自由な少年期を余儀なくされた家康から見れば、「民主主義」と「自由」は、まぶしくかつ羨ましく見えるかも知れない。

 

一方、今回の衆院選を見て、浮かれ過ぎた時代は長くは続かないことを肝に銘じよ、と苦言を呈するだろう。「水よく船を浮かべ、水よく船を覆す。ただこのことを、よく心得られよ」 徳川時代を築いた家康の名言である。

 

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。過去の種子島医療を振り返り、未来の種子島医療に思いを馳せて、医療安全は大丈夫か? 新興感染症への準備は出来ているか? 私たちが目指す種子島医療をさらに力強く進めよう。

 

病院長 髙尾 尊身