「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」 江戸時代、山口素堂の名句。ゴールデンウィークの種子島を詠んだかの如く、平和でウキウキするような幸福感に溢れています。皆さんは久しぶりの規制がない休日を楽しんだのではないでしょうか。しかし、ニュースに映るレジャーの様子を見ると、全国民がマスクを着用しており、非日常はまだまだ続いていることに気付きます。
さて、「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書によれば、我が国の医療の在り方は、我が国の未来の社会・経済的基盤を左右するほどの重要性を持つようになり、医療が医療従事者だけで完結する時代は終わりを告げ、患者や住民との協働が不可欠な時代に入りました。
働き方改革と銘打った政策に伴い、様々な情報が溢れ、ともすれば「改革」という言葉に押し流されそうになります。そうでなくとも、我々の日常生活は、長期にわたるコロナ禍により必然的に変化を余儀なくされています。ロシアのウクライナ侵攻や、「ウイズコロナ」対策などにより、「何気ない日常生活にあるしあわせ」の有り難みがわかる気がします。一方、医療の世界も非日常から新しい日常へ対応する働き方改革が求められています。
組織風土という聞き慣れない言葉があります。組織内での共通認識となっている独自のルールや価値観などを指す造語です。私たちは直接的、または間接的に組織風土の存在を感じ、普段の業務や行動、精神面に無意識のうちに影響を受けているという概念で、私はここに注目しています。例えば私が考える、種子島医療センターが目指すべき組織風土とは、職員一人ひとりがビジョンを共有し、あらゆる医療環境変化にも対応できるよう常に変化しながら進化できる組織です。
その実現には、心理学者・松村亜里が提唱する心理的安全性を高める繋がりが基盤となるため、各人の意識改革が必要なのです。
・批判せず行動に注目
・侮辱せず性格の強みに注目
・自己弁護せず謝る
・逃避せず話し合う
・Negative思考からPositive思考へ
良い組織風土の中でやりがいのある医療に従事する。そうすれば、初夏の種子島のように爽やかなしあわせの組織を実現することが出来るのではないでしょうか。
病院長 髙尾 尊身