1月講話 未来にはいくつかの名前がある

 

新年明けましておめでとうございます。

 

種子島は穏やかな年明けとなりましたが、世界中には貧困、洪水、コロナ禍そしてウクライナ侵攻による平和の危機など多くの困難が溢れています。私たちは、日常があるしあわせ、戦争のない自由の大切さをひしひしと感じながら2023年を迎えたのではないでしょうか。

 

さて、3年に及ぶ新型コロナパンデミックの終息が待たれる中、種子島にはどのような未来が約束されているのでしょうか。

 

未来にはいくつかの名前がある。

弱き者はそれを「不可能」と呼び、臆病者は「未知」と呼ぶ。

しかし勇敢な者はそれを「理想」と呼ぶ。 

                            ヴィクトル・ユーゴー

 

私たちが担う種子島医療の近未来を考えてみましょう。HⅢロケットの打上げが始まり、馬毛島の自衛隊基地建設も始まる、今年は大きな転換期になるのではないか。そして、それらは種子島の医療と福祉に大きな影響を与える、そんな予感がよぎるのは私だけではないでしょう。

 

また、人口減少およびコロナ禍に伴う患者数の減少と医療従事者の減少、とくに看護師の減少は大きな問題となるでしょう。種子島のみでなく日本全体で医療の収縮が始まっているのかも知れません。

 

その中で、私たちは、敢えて急性期病棟の7:1看護を中心とした救急医療の改革と入院料1への変更を目指す取り組みを始めたばかりです。これまでも地域包括ケアおよび回復リハビリの病棟改革を軌道に乗せてきました。同様に、医療と時代の変化に対応すべく重要なプロジェクトなのです。

 

私たちには、これまでの五十数年で獲得してきた信頼・自信に裏打ちされた継続の力があります。時代の変化に適合できる柔軟さ、寛容な心そして強い信念を私たちは持っています。

 

完璧な環境が整うまでとか考える必要はなく、そもそも完璧な環境など存在しないのです。だからこそ、いま始めるのです。「種子島医療を点から線、さらに面へ」と発展させること、私が考える種子島医療の未来です。

 

私はそれを「理想」と呼び、職員が一丸となれば「できる」と考えています。

 

今年こそ新型コロナウイルス感染が終息し、いち早く本来の日常に戻ること、そして自由で穏やかな世界が訪れることを祈念し、新年の講話とさせていただきます。

 

病院長 髙尾 尊身