3月講話 どうする! 種子島

 

今年の大河ドラマの主人公である徳川家康は生まれたときから苦難の連続でしたが、リーダーとしての能力の高さに恵まれました。結果、安定した徳川幕府の礎を築きました。特筆すべきは、信長や秀吉の独裁者にありがちな残虐非道行為に学び、人道的な社会行政の構築が長期政権の要になったのかも知れません。

 

さて、種子島で始まりつつある日本のみならず世界が注目している国家事業は、急速かつ大きな変化を種子島社会にもたらしそうです。私たちは目をつぶることなく刮目して、その変化に対峙すべき時がきました。種子島が故郷である人たちには、これまでに経験したことの無い急激な変化に適切な対応を望みたいのですが・・・。

 

その中で、「医療と治安」には「安全と安心」が担保されなければならない最も重要な課題です。果たして、島に住む人たちはこのことに思い至っているだろうか。種子島のリーダーたちからは、何のメッセージも発されない。何の準備も出来ないうちに、ことが急速に進んでいる。どうする! 種子島。パンデミックへの対応がそうであったように、リーダーたちが思考停止でないことを祈るばかりです。

 

急増する人口や情報は社会に様々な影響を及ぼします。だからこそ、少なくとも医療だけは安全でなければならない。種子島医療センターは最前線であり最後の砦であることを、私たちは再度自覚しなければならない。どのような変化にも、たとえ最悪の人身事故が勃発しても、私たちは冷静かつ迅速に対応しなければならないのです。

 

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。

 

「あんときも大変だったよなー。でも、なんだかんだ、みんな頑張ったよねー。つらいこともあったけど、よいこともたくさんあった」。こんな感じで過去の経験が美化され、現状維持の根拠とされるとき、その組織の進歩は止まる。さらに、離島より都会、歴史より経験。これらが意識の改革を阻む。

 

どうする! 種子島医療センター。離島だからこそ、島の歴史を鑑み、医療の進歩を取り入れ、必要な未来を選択できる意識の改革を目指そう。今、その時が来たのです。

 

 

病院長 髙尾 尊身