5月講話 終わりの始まり?―オミクロン君インタビューPart II―

 

ようやくオミクロン君との別れがやって来そうだ。南アフリカからやって来たオミクロン君は、デルタ君を圧倒的に凌いで歴史に名を残すほど世界を席巻し、第6波から8波までは主役を演じ過去に無い3連覇を達成した。今回、オミクロン君に2回目のインタビューです。感染拡大の影響となぜか功績(?)について語っています。

 

Q1:君には本当に酷い目にあった。反省してる?

A1:反省? まず俺の自慢から話そう。デルタ君より4-5倍の強力な感染力を持ち、少々の防御対策では感染を防ぐことは難しかったのには本当に困っただろうね。ワクチン接種しても感染しちゃうからね。世界のオミクロン株感染者数はこれまでのコロナ株に比べて最も多かったね。また、潜伏期間と発症間隔が短いため、感染を急拡大させ、院内感染が最も多かったことも自慢かな。致死率は低めにしたが、基礎疾患を持つ高齢者にとっては疫病神だったかな。でもワクチン4回以上接種の高齢者では症状悪化はさせないようにしたからね。これからもワクチン接種を勧めるね。(あなた方が反省すべきなんだよ、本当)

 

Q2:反省の色はないようだが、種子島医療センターへのメッセージは?

A2:種子島医療センターはしっかりした感染防御対策をしてたね。もちろん、俺を止めることは出来なかったのだけど、ガッカリする必要は無いよ。俺は世界中の病院でクラスターを起こした実績があるからね。君らはこの経験をこれからの新興感染症対策に活かしてもらえれば、俺も嬉しいね。(種子島は本当にしあわせの島で出来れば永住したい)

 

Q社会的影響についてどう思ってる?

A3:功績と言っては何だけど、俺のお陰でDX医療に火が付いたようだね。とくに講演や会議ではzoomの使用が普通となったよね。これはかなりの恩恵だったんじゃないかな。欧米諸国に差を付けられていたからね。日本の政府としては苦肉の策だったわけだけど。前倒しでやる気を起こさせたことは「瓢箪から駒」だったと思うよ。(10年前倒しでデジタルの進歩普及に貢献した訳だね)

 

Q4: 5類相当の対応を5月8日から実施ですが。これについては?

A4:政府は5類相当に格下げとか言ってるけど、ウイルスにとっては全く関係ないからね。今まで通りの振る舞いは変わらないよ。そこのところよ―く考えて対応を誤らないようにして欲しいね。(コロナ「ゼロ」になるのはいつになるのか俺にも分からんね)

 

Q5:ポストコロナに対する私たちへのアドバイスを一言。

A5:以前は当たり前だと思っていた日常が、いかに「しあわせ」だったかをあなた方に考えて欲しいな。今、人類は大きな転換期を迎えていると、ウイルス界でもホットな議論がされているよ。人類と仲良く共存を目指すウイルス派と人類を滅ぼしたいウイルス派との対立があるんだな。世界は人間中心で回ってると皆さんは勝手に思っているけど、我々ウイルスにとって人間の都合は関係ないからね。

 

また、人間は賢いのか、愚かなのか?ウイルス界では意見が分かれているよ。愚かな行為、たとえば戦争はウイルスにとってパラダイスとなるし、人類を滅ぼしたいウイルス派が喜ぶだけだね。今回のパンデミックは「人類への警告」と受け取って欲しい。(そう言えば、人間界には「これは終わりじゃない。終わりの始まり? 始まりの終わり?」なんて迷言があるなぁ)

 

最後になるけど、ポストコロナではより良い「しあわせの医療」を創造して欲しいと願ってるよ。とくに種子島医療センターには!(俺ってイイ奴?)

 

インタビュアー

病院長 髙尾 尊身