今年の日本の夏の暑さは異常です。観測史上最も暑かった昨年に匹敵あるいはそれ以上の暑さとなる可能性があるそうです。私が種子島に赴任して過去10年の中で、最も暑い夏を迎えていると思います。
逆転の金メダルが続くパリ・オリンピックの興奮と寝不足の中、暑さが原因の不調、「体がだるい」「食欲がない」「下痢をする」「頭痛がする」などの訴えが増えて来ているようです。
コロナ禍が過ぎ平穏無事な社会へ戻るかと思いきや、種子島ではCOVID-19が昨年よりも強力な感染力で発熱外来を連日満員とし、その中にインフルエンザや溶連菌感染が紛れ込んでくる。また、咳を主体とした長引くカゼ症状の患者が多いのも今年の特徴と言えます。
先月から続くCOVID-19の蔓延は高止まりで今月も続くでしょう。本院職員の今年のCOVID-19感染率はコロナ禍時のそれを上回っているのではないでしょうか。
夏に流行する感染症は、アデノウイルスやエンテロウイルスが原因で乳幼児や児童を中心に手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナ、流行性角結膜炎などがあります。
さらに今夏は溶連菌感染が急増し、夏の感染症が多彩になりました。とくに、今年の劇症型溶連菌感染者数は過去最多となっており、全国で妊産婦5人が亡くなっています。その中の一人が種子島だったことは記憶に新しいところです。
気温の高い環境にいることで体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることで起こる、めまいや頭痛、けいれん、意識障害などの症状を「熱中症」といいます。 熱中症を引き起こす要因には、「環境」によるものと「からだ」によるものがあります。
高温多湿な種子島の夏は体への負担が大きく、不眠や食欲不振、冷房病などいわゆる夏バテを引き起こし、熱中症が追い討ちをかけます。夏バテ対策には、ビタミンB₁やたんぱく質、クエン酸、ミネラルなどの栄養素の摂取が重要とされ、栄養バランスの取れた食事、無理のない適度な運動、十分な睡眠によって自律神経のバランスを整え、元気に充実した夏を過ごしたいものです。
種子島で夏バテや熱中症を防ぐ7つの対策
- 1.生活リズムを整え、できるだけ生活リズムを一定にする。
- 2.冷房で身体を冷やさない。室内外の激しい温度差は、自律神経のバランスの乱れを引き起こす原因となる。
- 3.睡眠をしっかりとる。
- 4.朝起きたら日光を浴びる。
- 5.適度な運動で、こまめに水分を補給する。
- 6.栄養バランスの良い食事を心がける。
- 7.夏を楽しむ:鉄砲祭りへの参加は効果的!(多分)
史上最も暑い夏を乗り切りましょう!
病院長 髙尾 尊身