種子島医療センター

11月講話  拝啓 高市総理殿 ―女性総理誕生と離島医療―

 

高市総理の誕生は、長年の日本政治における「ガラスの天井」を打ち破った象徴的な出来事として歴史に残るでしょう。そして、女性リーダーの誕生は、「リーダーは男性」という日本社会に根強く残る固定観念や無意識の偏見に対し、変化をもたらす期待があるのではないでしょうか。

 

国際的には、日本の女性総理誕生は驚きをもって受け止められ、多くの国際報道は好評価をしています。日本の男女平等指数が低水準であるため、それとのギャップが驚きと好評価に繋がっているのでしょう。

 

一方、一部の報道や批評(とくに女性)が、SNSで一斉に彼女の人格を否定するような発信をしていることは、政治的無知あるいは社会的に寛容性のない、国益を貶める残念な言動だと思います。私たちは、一方的な批判に惑わされず、その政策や実績を冷静に見極めることが大切です。

 

さて、高市総理、種子島をご存じでしょうか?

 

種子島が、H3ロケット打ち上げの宇宙センターや馬毛島の空軍基地建設など、日本の安全保障や科学技術において、極めて重要なプロジェクトが進行している離島であることは周知の事実です。当然ながら、総理も高い関心を持たれていることと拝察いたします。

 

また、高市総理が、総理就任前から病院の約7割が深刻な赤字介護施設の倒産が過去最多であるという現状を認識し、医療・介護の困窮の現状打開を訴え、所信表明演説でもその趣旨を述べられたことは、離島医療の課題解決を期待する大きな根拠となります。その機能を支える島民および関係者の健康・生命維持は「国益に直結する課題」です。

 

高市総理が掲げる「責任ある積極財政」に基づき、種子島医療への支援を単なる「地域医療」対策としてではなく、「国の重要拠点機能の維持・確保」のための「安全保障・科学技術インフラ投資」として位置づけることを強く提言します。また、私たちは緊急時の搬送体制という、離島医療の構造的な課題にも直面しており、課題の解決には国による特別な介入が必要です。

 

これまでの男性リーダーの視点による「効率性」重視の離島医療対策から、高市総理の女性リーダーとしての「命と生活の安心感」を重視する視点が、上記の具体的な課題を切り開き、種子島医療センターが目指す「しあわせの医療」の実現に大きな影響をもたらすと確信します。

 

国民の命を守ることは政府の最大の責務であり、その一歩として、高市総理の一挙手一投足が、日本の離島医療に新たな光明を与えることを期待いたします。

 

敬具

 

病院長 髙尾 尊身