今年5月に開催した公開講座『胃・大腸カメラ』では、日本人の2人に1人が一生のうちにがんと診断される可能性がある一方で早期発見・早期治療によってリスクを軽減し、克服できることがわかってきたことをお伝えしました。
とはいえ、世の中にはさまざま情報があふれ、どれが正しいのか混乱して不安に陥ってしまうケースがほとんどです。そこで、がんについて正しく知ってもらうため、10月20日(日)、西之表市民会館にて市民公開講座『がんのこわくて、やさしいお話』を開催しました。当日は雨が心配されましたが、開始時刻には晴れ間も見え始め、多くの方々が足を運んでくださいました。ありがとうございました。
今回の講師は、長年がんの研究に従事し、治療を行ってきた髙尾尊身病院長、大久保 啓史外科主任部長、山之内 信がん化学療法看護認定看護師が務め、「がんとは何者なのか」、「なぜできるのか」、「なぜ怖いのか」、「予防はできるのか」、「どんな治療法があるのか」など、難しくて怖いがんのことを、わかりやすくやさしく解説しました。
髙尾病院長は「なぜ、がんは克服できないのか」について、人間の組織や細胞を修復し再生する幹細胞の観点からわかりやすく説明し、がんになる仕組みやどの時点で検査するのがいいのか、どんな治療法があるのか最新情報を紹介しました。
詳細な治療法については、大久保外科主任部長が腹腔鏡手術を含む最新の手術治療法を、山之内認定看護師が進化しているがん薬物療法を中心に紹介し、手術や治療に関する誤解を解くとともに、治療にはさまざまな選択肢があり、既往症の有無などその方の状態、がんの種類、がんの病期(ステージ)に応じて適切な治療を行えば、決してこわい病気ではないことをお話しました。
髙尾病院長 | 大久保外科主任部長 | 山之内認定看護師 |
また、がんと診断された時から心や苦痛症状をケアする緩和ケア看護認定看護師が常駐し、様々な職種のスタッフがあらゆる面から支えるチーム医療とサポート体制が整い、たとえがんにかかったとしても安心して治療が受けられるのも、地域がん診療病院である当院の強みです。
講演後にはパルディスカッションが行われ、「がんは遺伝するのか」、「がんを予防することはできるのか」、「がんを克服できる未来は来るのか」といった様々な質問が寄せられました。パネリストが一つひとつ丁寧に回答するうちに、がんへの恐れが緩和されたのか、なごやかな雰囲気の中、講座は終了しました。
がんはすべての人にとって身近な病気であり、治療やサポートも充実してきた現在では、過剰に恐れる必要はなくなってきました。とはいえ、早期発見、早期治療が、がんから身を守る方法です。
そのためにも、がんの正しい情報を知り、定期的にがん検診を受けることが、がんをこわくない病気にしてくれる有効な手段であることを心に留めておきましょう。