種子島医療センター

公開講座『現代のこどもたちに寄り添う』を開催しました

 

鹿児島県の出生の動向を見ると、昭和22年に58,769人だった出生数は年々減少し続け、令和5年は9,867人とおよそ6分の1まで減り、過去最低となっています。種子島においても例外ではなく、昭和45年に817人だった出生数は令和4年には144人まで減り、少子化が進んでいます。

 

この数十年で社会情勢は大きく変化しました。家族やこどもたちを取り巻く環境も変化し、「こどもを育てにくい社会」、「こどもが育ちにくい社会」といった声が多く聞かれます。「子育て・子育ち」の難しさは少子化の要因となっており、子どもの未来ひいては国の未来に関わる重要な課題であり、国や県では、こどもを育てやすく、育ちやすい社会の実現を目指し、さまざまな支援を進めています。

 

2025年3月30日(日)、作業療法士、相談支援専門員、子育て支援員である立花悟さんを講師に迎え、『現代のこどもたちに寄り添う~種子島の未来のために地域でできること~』をテーマに公開講座(熊毛高齢者保健福祉圏域地域リハビリテーション広域支援センター主催、種子島医療センター共催)を開催しました。

 

立花さんは、12年間作業療法士として種子島医療センターに勤め、現在は社会福祉法人落穂会『地域生活支援センターあさひが丘』で、作業療法士の他、相談支援専門員、子育て支援員、児童発達管理責任者として幅広く活躍されています。当日は、メイン会場の他に親子連れの方も気兼ねなく参加できるよう畳の会場を用意。多くの方が参加されてにぎやかな講座となりました。

 

 

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生まれてから小学1年生までの100カ月は、人格の基盤を築く期間で、その後の人生を幸せな状態(ウェルビーイング)で過ごすために重要な時期とされています。

 

立花さんは、「こどもが健やかに育つには、この時期、身体的、精神的、社会的に幸せに過ごせる環境を守ることが大切」ということ。「乳幼児の育ちには、安心と挑戦の繰り返しが必要で、それには豊かな遊びと体験、こどもが不安な時に身近な大人が寄り添うアタッチメント(愛着関係、情緒的な絆)によって、安心という土台を築くことが大切」ということなど、子育て支援のプロの立場から、また2児の子育てに奮闘する親の立場からわかりやすく話してくださいました。

 

そして、「ウェルビーイングを守るには、こどもを育てる、保護者や養育者自身が支えてもらうことも大切です。困った時にはひとりで抱え込まず、プロに相談するなど、制度やサービスを活用し、子育てに必要な支援や応援を当たり前に受けてほしい」と伝えました。

 

講演の最後には、参加者との質疑応答も行われました。こどもの問題行動等についての相談に丁寧に答えてくださり、自身の種子島での生活を振り返りながら、大自然の中で思い切り遊べ、地域のつながりの強い種子島は子育てに最適な環境だと締めくくりました。

 

種子島が幸せな子育ての場として全国のモデルとなるように願っています。

今回、講演を引き受けてくださった立花さんを始め、こども・子育て支援のために懸命にがんばってくださっている関係者のみなさまに心からお礼申し上げます。