健康寿命ってご存じですか? 心身ともに自立し健康的に生活できる期間を言います。それでは健康寿命をのばす方法はご存じでしょうか?
6月29日、『健康寿命をのばすには?~家庭血圧測定のススメ~』をテーマにした公開講座が西之表市民会館で開催されました。講師は、700件以上の心臓カテーテル治療の実績を持ち、現在種子島医療センター循環器内科部長である薗田剛嗣先生、司会進行は3階西病棟の平山靖子師長が務め、なぜ高血圧を治療する必要があり、健康寿命にどう影響するのかについて解説しました。
日本は65歳以上の高齢者の割合が総人口の21%を超え、超高齢社会の時代を迎えています。そのうち75歳以上は16.1%を占め、鹿児島県においては25.8%と4人に1人が75歳以上です。
また、平均寿命を見ると日本人男性は81歳、女性は87歳であるのに対し、健康に暮らせる健康寿命の平均は男性が72歳、女性が75歳。つまり健康ではない期間が男性は約8年、女性は約11年あり、いかにこの期間を短くするかが今回のテーマであり、その鍵が血圧です。
薗田先生は冒頭、「SNS、知人からの誤った情報に注意してほしい」と述べ、例えば「血圧の薬って、いったん飲み始めると一生やめられない」、「歳を取ったら血圧が高くなるのは当たり前。無理に下げない方がいい」といった誤情報がまことしやかに語られていることに注意を呼びかけました。
高血圧は症状がないだけに放置しがちですが、なぜ、高血圧を治療しなければならないのでしょう。それは、血圧が高いほど脳卒中のリスクが高まり、腎疾患になるのが早いこと、さらに認知症にもなりやすく、糖尿病の人においては心臓病のリスクが高まるなど糖尿病の予後は高血圧かどうかで決まる、ということがわかっているからです。
つまり、高血圧は薬を使ってでも血圧を下げることが、健康寿命をのばす最も重要なことと言えるのです。
また、「高血圧の薬はやめられるか」との問いには、冒険家でありプロスキーヤーの三浦雄一郎さんが、65歳の時に体重90㎏台のメタボリックシンドローム(糖尿病、高血圧、脂質異常症)だったものの、食事制限、薬、トレーニングによって5年で完治させ、70歳でエベレスト登頂を果たした例を挙げ、「自身の努力次第でやめられる」と答えました。
そして講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、様々な質問が寄せられました。薗田先生はどの質問にも丁寧にわかりやすく答え、和やかな雰囲気の中、閉幕となりました。
持病がある人もない人も、血圧をコントロールすることが、健康寿命をのばす重要なポイントです。高血圧は放置せず、病院を受診してきちんと治療しましょう。
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