脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる病気です。突然、命に関わる状態に陥るだけでなく、対応が遅れると重い後遺症が残る可能性もあります。特に血管に負担がかかりやすい寒い季節は、より一層の注意が必要です。
去る11月30日、西之表市民会館で、脳卒中の講座としては2年ぶりとなる市民公開講座「脳卒中のお話 ―知っておきたい、発症のサインと予防のコツ―」が開催されました。脳卒中への関心の高さを反映するように、多くの方にご来場いただきました。
講座の司会は、当院の臨床工学技士・西伸大室長が務め、講演に先立ち臨床工学技士の役割について紹介しました。臨床工学技士は、生命維持管理装置をはじめとした医療機器の専門家であり、手術室や人工透析室などで重要な役割を担っています。
今回の講師は、日本脳神経外科学会専門医であり、当院脳神経外科部長の渡邉章二先生です。今年1月に当院へ赴任され、趣味の硬式テニスを通じて地域の方々と交流しながら、種子島での生活にすっかり馴染まれています。
講演ではまず、脳卒中の種類について説明がありました。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れて出血する「脳出血」、脳の表面の血管にできたこぶが破れる「くも膜下出血」の3つが代表的です。発症した場所によって症状は異なり、種類によって治療法も大きく変わります。渡邉先生は、それぞれの特徴や治療、予後までをわかりやすく解説しました。
さらに、脳卒中から身を守るための重要なポイントとして、次の点を強調しました。
「脳卒中は時間が勝負です。
ろれつが回らない、言葉が出ない、片方の手足が動かない――こうした症状に気づいたら、ためらわず救急車を呼んでください。脳梗塞であれば、発症から4.5時間以内に治療を行うことで、元の状態に戻れる可能性があります。
ただし、一度起こってしまうと後遺症が残りやすいため、何より予防が大切です。血圧、コレステロール、血糖、心房細動の管理、そして禁煙を心がけましょう。」
脳卒中のしくみや症状を正しく理解することは、予防の第一歩です。これからの季節は特に発症しやすくなるため、日頃から生活習慣を見直し、体の異変に早く気づくことがとても大切です。
講演後には、「血圧の薬を飲み始めるタイミングは?」「薬を飲むと一生続けないといけないのでは?」「タバコもお酒も毎日欠かせないが、どれから減らしたらよいか」など、生活に密着した質問が多く寄せられました。渡邊先生は一つひとつ丁寧に回答し、「不安があれば遠慮なく相談してください」と述べ、会場を温かい雰囲気に包んで締めくくりました。
当院では、脳卒中のリスクを早期に把握する「脳卒中・動脈硬化検診コース」を実施しています。
脳卒中は、正しい知識と早めの行動で防ぐことができる病気です。気になる方は、ぜひ一度検診をご検討ください。皆さまの健康を守るため、当院はこれからも地域に寄り添った情報発信と医療を提供してまいります。
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