5月朝礼講話―信頼のキーワード―

 

種子島医療センターと病院名を変更して1ヵ月が経過しました。この間、想定外の熊本地震が起こり、日本中が心を痛めています。熊本県の幾つかの病院が建物の被害のために診療できなくなっています。医療人にとって患者を治療できない状況はとても辛いことだと思います。それを考えればここ種子島ではゴールデンウィークは平和そのものでした。

 

さて、病院という組織が傾くのは地震だけではありません。永守重信という方がこの様な戒めを挙げています。

 

組織がおかしくなる六つの要因:①マンネリ ②油断 ③驕り ④妥協 ⑤怠慢 ⑥諦め 私が病院長になって2年が経ちましたが、これら六つのことが大変気になっています。とくに、「諦め」と「驕り」が気にかかっています。その原因は「種子島で唯一の総合病院」にあると思います。向上心に対する諦めと患者に対する驕りが見受けられます。

 

そこで、病院を良くする六つの要因を考えてみました。

 

上記の六つの言葉に対する対義語です:①変化、新鮮さ、独創性 ②危機感、緊張感 ③謙虚 ④折衷(固執、対立ではない)⑤勤勉、精励 ⑥粘る、挑む(胆力とも言います)ひとつひとつの言葉が重いのです。まして、これら6つの言葉通りの診療が出来るとは到底思えません。

 

最近読んだ「心配事の9割は起こらない」というストレス解消に大変役立っている本があります。取り越し苦労はするな、成るようになる、と前向きの姿勢で人生を歩めとの主旨だと思っているのですが。

そこで、気にかかっていた「諦め」と「驕り」をもう一度考えてみました。「諦め」は再出発のために全てを受け入れること、「驕り」は若者が自信をもって事に当たる時に付き物の現象だと思えば・・・前向きに考えればそう悪くないかなと・・・種子島の人は人柄が良過ぎるとの褒め言葉(?)を屡々聞くので、少し自分をアピールすることも必要かなと思います。患者さんに覚えてもらうのは悪くない。

 

患者さんや仲間との信頼関係を築くことは難しいと考えがちですが、自分自身の特徴や生き方、それが信頼のキーワードになるのかも知れません。

 

髙尾 尊身