10月朝礼講話―「ほうれんそう」は根付いているか?―

 

お早うございます。台風18号はコースを西よりにとり種子島への影響はかなり軽減するようです。それでも、各部署での雨風に対する点検は十分にお願いします。

 

さて、先月は多くの医療関連ニュースが報道されました。連日報道されている異物(消毒薬)混入点滴による死亡事件は、まさに「医療テロ」だと言っても過言ではないでしょう。無差別かつ高齢者の集まる病院を標的とした卑劣で陰湿な犯罪です。一方、この報道に隠れている医療事故もあります。病院の投薬ルールを無視したインスリン過剰(10倍)投与による死亡事故です。ヒューマンエラーではなく、虚偽のカルテ記載をしていた悪質な事件です。

 

医療事故調査制度が開始されて1年が経過しましたが、想定外の事件や医療事故が起きています。

異物混入点滴殺人事件が明るみに出た発端は、点滴への異物混入を気付いた看護師のお蔭です。あの時気付かなければさらに犠牲者が増えていたことは間違いないでしょう。それまでの不審死では気づけなかった点滴の異常を見抜いた看護師はプロであり、一方、ルールを無視し、インスリン過剰投与による死亡事故を招いた看護師は、医療人としての資質が無いと言えるでしょう。

 

病院では医療安全がすべてに優先します。しかしながら、犯罪性の高い医療事故には梯弱な組織です。自由に出這入ることが出来る施設であり、弱者へ寄り添う医療人で構成されている組織です。犯罪には無防備と言えるでしょう。だからと言って、警察を常駐することは難しく、少なくとも種子島では馴染まないと思います。

 

では、事故や犯罪に対して強い組織にするにはどうすれば良いのでしょうか?私は「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」で築かれる組織だと思います。多職種の医療人によるコミュニケーション、すなわち情報や問題意識を共有できる組織によってこれらを防御するしかないのではないでしょうか。

 

この病院に「ほうれんそう」は根付いているか?わたしはまだまだと思っています。先週の看護研修会でコミュニケーションの大切さを学びましたが、その前提は報告・連絡・相談なのです。職員は皆「家族」だと思って、報告・連絡・相談を気軽にして下さい。

 

10月は「ほうれんそう」を意識して、さらに医療安全の強化に努めて頂きたいと思います。

 

髙尾 尊身