12月朝礼講話―「結び」の医療―

 

おはようございます。いよいよ今年も1ヵ月を残すのみとなりました。インフルエンザが流行する兆しをみせています。皆様は予防接種を済ませたうえで、手洗い、うがいなどの励行をお願いします。

 

さて、振り返ってみますと、今年は色々な想定外の出来事や事件の多い一年でした。

4月の熊本地震に始まり、米国の現職オバマ大統領の広島訪問、イギリスのEU離脱、プロ野球日ハムの逆転優勝、博多駅前道路の陥没、韓国大統領に対する突然のバッシング、極め付けはトランプ氏の大統領選勝利、これからは日ロ首脳会議が予定されており、何が起こるか予断を許さない現状だと思います。最近特に、これまでの世界の常識、今までの物差しが通用しなくなっていると感じます。これからも予期しない出来事が続くと思われます。

 

そんな中、「君の名は。」というアニメが大ヒットを続けていることを先日の NHKクローズアップ現代で取り挙げていました。皆さんの中でもご覧になった方もいるかもしれません。想定外のヒットをしている要因は何なのかを検証した結果、その成功の秘訣は、すべての世代間で共通する日本文化の一つである「結び」(むすび)というキーワードに集約されると言うことでした。

 

糸へんに吉と書く「結」という字は多くの単語で使われています。結束、結納、結婚、など、お互いが結び合うことの大切さ、協力し合う相互扶助の精神が込められています。11月は本院でも結婚式を挙げた方が数名おられます。また、産休や育児休暇を取る方も増えています。種子島にとって大変有難いことで、もし本センターが種子島の人口減少の歯止めになれば、まさに予期しなかった出来事だと思います。

 

医療に目を向けると、岡山県の津山中央病院では、かかりつけ医への診察に移行する患者に対し、それぞれの医師の連携を示す「結(ゆい)カード」を来年から交付することが報道されています。カードには担当医名を記載し、「何かのきっかけで悪化したり、緊急性が高かったりする場合、できる限りの対応をスムーズに行えるようにしたい」とのことです。これからの医療のあり方にも「結」がキーワードになってくるでしょう。

 

12月は1年の結びにあたる月です。医療センターの皆さんが結束して、安全安心を優先した良質なチーム医療を患者さんに提供していきましょう。それが「結び」の医療の始まりだと思うのです。

 

髙尾 尊身