私は、「笑いが高齢者を癒し、地域を変える」のではないかと思っています。
私はこの2~3ヶ月、回復リハ病棟を診ていますが、看護、リハビリともに大変良くやっていると思います。ケアが良いか悪いかは患者さんの顔を見ればすぐわかります。「笑い」です。本院の入院患者さんには80歳以上の患者さんが沢山おられます。私たちが高齢者の患者さんとのコミュニケーションを築くとき、共感を得る話題や語り口も大切です。
「対話する医療」とも言います。本院では地域包括ケア病棟で「病気に活動」という面白い講義をしています。「笑い」が高齢者を癒し、ひいては地域を変える。すなわち、高齢者の「笑い」が、健康寿命を延ばし、周りを明るくする。それが地域を活性化するために最も大切なのです。
ところで、「きみまろ」さんを知っていますか。
きみまろさんは、痛風・高血圧・睡眠時無呼吸症候群の持病があるためか高齢者を深く観察しその特徴を的確に表し、「死や病気」を積極的にネタとして取り上げ、それらを笑いに転化していく独特の漫談スタイルを確立しました。NHKの『クローズアップ現代』で彼の漫談スタイルが取り上げられたことがあります。老化現象、高齢化社会、物忘れ、アルツハイマー、認知症などを引き合いにしたフレーズが多く、「彼の漫談を聞いて年老いた家族の病気が良くなった」との評価もあり、老化防止や病気の進行の歯止めに適しているそうです。きみまろさんのライブの客には80歳以上の所謂「超高齢者」が多いのも特徴です。
今日は本院でWマコトさんの医療漫談が開催されます。『最強医療コミュニケーション・なんでやねん力』のタイトルです。どのような話なのか楽しみですし、患者さんとの対話術を学べるかも知れません。是非、皆さんが「笑い」を誘う「対話」を会得し、「老い」や「病(やまい)」と闘う高齢者のケアをさらに進歩させて下さい。
今月もよろしくお願いします。
髙尾 尊身