12月朝礼講話―穏やかな生活と穏やかな仕事意欲が穏やかな人生をつくる―

 

 先月は1年かけて準備してきた病院機能評価受審でしたが、過ぎてみるとあっけない気もしています。ただ大切なことは突然に病院機能が改善するわけではなく、日々の医療業務の積み重ねであることを再確認したことかもしれません。「60%でとりあえず走り出せ」と何かの本にありました。100%準備なんてそもそも無理なことで、そんなことをしようとしたら準備だけで人生が終わってしまう。不完全な状態でもとりあえず走り出すことが大切との教えです。

 

おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」(樹木希林)は最近の名言の一つです。そもそも、人は「生きる」ことを自己選択して生まれてきたわけではなく、そのため、とくに青春時代には生きることを真剣に悩むことになるといいます。皆さんの中にもその様な悩みを抱えている方もいるだろうし、過去に悩んだ人もいると思います。多くの場合、自然の成り行きを受け入れていくことで悩みが薄らいでいくのですが、こと或るごとに焚火の残り火が燃え上がる如く悩むことも珍しいことではなく、そのたびに自分の経験とその時のシチュエーションによって鎮火に向かうことで折り合いをつけることになるそうです。

 

先人曰く「一生のうちでいちばん大切なことは、職業の選択である。ところで、それを決めるのは、偶然なのだ」(パスカルの言葉)。すなわち、人生のターニングポイントは偶然によるところが大きく、必然ではインパクトが無く、なるほどである。さらに、人生においてもう一つの重要なキーワードが「幸せ」である。偶然と必然そして幸せが織りなすのが人生と言えるかもしれません。

 

さて、私たちが種子島に住み、働いていることは偶然だろうか、必然だろうか、そして幸せなのだろうか。一つの答えとして、穏やかな生活が送れる環境の中にいること、穏やかな仕事意欲さえあればやりがいもある。その中に穏やかな人生を見出すことで、幸せを感じることが出来るのではないだろうか。

 

12月は師走という忙しい月ですが、幸せを再認識し、平成最後の年末年始を迎えたいと思います。今年が無事終わることを祈っています。今月もよろしくお願いします。

 

髙尾 尊身