雨が降り続いた7月でしたが、ようやく夏本番の暑さがやって来ました。
最近のニュースの中で、私が強い憤りを感じたのは京都アニメーション放火事件です。
世界に誇る日本の文化となったアニメを支えてきた若者たちが不条理に命を落とした悲惨な事件でした。一方、明るいニュースとしては、先の参議院選挙で2名の重度身体障害者が国会議員に当選しました。障害を持つ政治家が増えることにより、我が国の共生社会実現に追い風が吹くことが期待されます。
さて、皆さんは「見えざる資産」という言葉を聞いたことがありますか?これは、イオンの創始者である小嶋千鶴子氏が自伝の中で使った言葉です。会社が発展するか否かは「見えざる資産」の蓄積にかかっていると述べており、それは「知識」「技術」や「人脈」を指すのだそうです。私はこの考え方は病院経営にも通じるのではないかと思います。病院を成長させる鍵は、目に見える具体的資産よりも、医療機関としてのノウハウの蓄積と、何より現場で働く人的資源の確保が重要であり、優秀な人材を継続的に確保するためには地道な人脈の構築が必要です。小嶋氏の言うように、これらの「見えざる資産」の蓄積には多くの時間とエネルギーを要することは言うまでもありません。
では種子島医療センターが有する「見えざる資産」とは何でしょうか。それは、離島医療をこころざし全国から集まった私たち一人一人の情熱と行動力。患者とその家族に希望を与えるための専門職としての知識や技術。より高度な医療環境を整備し、意識の高いスタッフを揃えることで生まれるさらなる活力。これらが、数字には換算できない私たちの「見えざる資産」と言えるでしょう。そして、こつこつとこれらの「資産」を蓄積しなければ、病院の成長はとまってしまうのかも知れません。医療センターと職員の皆さんは、これからも共に大きく成長して行きましょう。
令和初の夏を迎えています。夏は種子島が最も躍動する季節です。今年も鉄砲祭りを盛り上げましょう。もちろん、夏の医療対策をしっかりお願いします。
病院長 髙尾 尊身