種子島医療センター

田上理事長の講話
令和7年6月

 “昔ベタベタ 今ベツベツ いなきゃ困るが いるとじゃま”
 長年連れ添った夫婦を表す面白い句だと感心します。若いカップルには申し訳ありませんが、夫婦とはそんなものかもしれません。


 さて、ふと気がつくと我が家では上の娘が成人となり、娘が生まれたのが結婚5年目なので、うちの夫婦は銀婚式を挙げる時期となっていました。そこで銀婚の祝いに何かしようとなり、嫁の提案で銀婚の記念には夫婦水入らずの旅行となった次第です。
 そうなると、私には一つ気がかりなことがありました。よく考えてみると、この25年間嫁と二人きりで長い時間過ごしたことがないのです。これまではどこに出かけるにも、二人の娘が一緒でした。4人でのおでかけは大変ではありましたが、いろいろな面で夫婦間のストレスを緩和させてくれる娘たちがいない25年ぶりの二人きりの旅行は少し新鮮で、緊張を伴うものでもありました。娘も「二人きりで大丈夫?」と気になることをあけすけに言ってくれます。
 そこで、私は銀婚旅行に際して、3つの誓いを立てました。
一つ、何事にも不平不満を言わない
一つ、常に笑顔で明るくいる
一つ、嫁の嫌なことはしない
 なかなか難しいかもしれませんが、25年の間、別居の期間もありながら子育てをほぼ一人で頑張ってくれた嫁に対してせめてもの恩返しと考えると、これぐらいはやらねばと心に決めた私でした。

 

 さて、旅行はどうなったのかと言うと、多少の小競り合いはあったものの、概ね心配していた程のことは起こらず。私の努力のたまものでうまくいったのではないかと思っています。


 この世は人と人との繋がりで出来ています。
だから、良い人生を送るためには良い人間関係が必要です。そして、良い人間関係を築くためには、相性だけでなく、相手を思いやるお互いの努力が必要だと思います。それは、長年連れ添った夫婦でも同じです。ましてや、友達や同僚、患者さんや利用者の方たちとの良い関係を保つためにはそのための努力が必ず必要になります。
 今回立てた銀婚の誓いである、不平不満を言わない。常に笑顔でいる。他人の嫌なことはしない。私は、この3つの誓いをこれからの仕事にも生かして行きたいと思います。


令和7年6月
理事長 田上 寛容