
清々しい季節となりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
毎日のお楽しみとして、朝の連続テレビ小説を見ている職員もいると思います。いま放送されているのは“あんぱん“ですね。アンパンマンの作者であるやなせたかしさんの奥様を主人公とする物語ですが、毎日欠かさず観ている私は、主演の今田美桜さんの笑顔に癒される日々を過ごしています。
さて実は私、もうひとつの朝ドラも欠かさず観ていました。それは“カムカムエヴリバディ”。今回が再放送で、もちろん初回の放送も全部観ていて、おおよそのあらすじは覚えていましたが、今回の再放送も新鮮な気持ちで毎回ワクワクしながら楽しんでいました。いましたというのも4月29日に最終回を迎えたからです。
ところで、私はそのカムカムの中に出てくる大好きな役がありました。それは、ベテラン時代劇俳優の伴虚無蔵という役で、演じているのは松重豊さん。現代に生きる侍のような渋い役柄の伴虚無蔵による物語の中で繰り返し言われたセリフがとても印象的でした。
「日々の鍛錬を怠らず、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」
主人公のひとりであるひなたは、小さい頃から何をやらせても長続きしない女の子でしたが、職場で出会った伴虚無蔵のこの言葉で、毎朝のラジオ英語会話を欠かさず聞くようになり、いつの間にか英語が喋れるようになりました。そして、その英会話のスキルをもって将来の自分の道を切り開いていくことになり、家族の運命をも変えていくことになるのです。
さて、最近の医療介護業界は非常に厳しい時代を迎えています。それは、ここ種子島だけでなく全国的にも同様です。しかし“禍福は糾(あざな)える縄のごとし”とも言います。いつかはまた医療介護にとっていい時代が来ると信じています。
では、それまでに私たちは何をしなければならないのか。それはやはり目の前の患者さん一人ひとりを大切にし続けることだと思います。毎日の仕事は大変だと思いますが、その日々の仕事こそが私たちの鍛錬であり、いつかはこの状況が良くなることを信じて、これまで通り日々の診療を丁寧に行っていくことが大切なのだと思います。
物語の最後の方で、伴虚無蔵は成長したひなたにこう言いました。
「そなたが鍛錬し、培い、身に着けたものはそなたのもの。一生の宝となるもの。
されど、その宝は分かち与えるほどに輝きが増すものと心得よ」
朝ドラといえど、あながち楽しむためだけのものでなく、いろいろな人生の教訓も詰まっているものだと感じました。これからもできる限り観ようと思います。
令和7年5月
理事長 田上 寛容