種子島医療センター

田上理事長の講話
令和7年7月

 医療講話をしています。
 地域に出向いて、病気について分かりやすく話をすることで予防医療につなげるというのが、そもそもの目的でした。現在、種子島医療センターで行われている市民公開講座のざっくばらんなやつと思っていただければいいと思います。
 市役所が行っている元気アップ体操など、その地域の高齢者が集まる場があって、そこに呼んでいただければ、公民館で1時間ぐらいお話をさせていただくのですが、数年前に始めた頃は年に1、2回で参加人数が3人というときもありました。内容も心臓病などについての話をしていましたが、あまり手ごたえを感じることもなく、どうしたら続けていけるのかと悩んでいました。
 せっかくやるのであれば、たくさんの人に聞いてもらいたいし、みなさんに興味を持って聞いていただきたい。また内容についても、日常生活に役に立つものにしたいと考えました。そこで、歌を一緒に歌ったり、脳トレもしたりすることにしました。また、できるだけ楽しい講話にしようと、笑い話などを取り入れていくと、だんだんと講話依頼の回数も増えてきました。今年は年に12回のご依頼をいただいています。


 講話の中で紹介している外来で出会って面白かった方々の話です。
「あれがあれなんです」としか言わないおばあさん。「背中がかゆいけど掻いてくれる人がいないので柱にこすりつけています」と自慢するおじいさん。「夫が金庫の開け方を教えてくれないので、先生が聞いてくれないか?」と頼んでくるおばあちゃん。「何も食べていないのに何故か太ります」という方や「毎日ちゃんと飲んでいるはずなのに薬が3か月分余っています」という方もいらっしゃいます。


 私が島に帰ってきて20年は経ちますが、ずっと外来で診させていただいている方も多く、そうなると外来診察は、さながら世間話やお悩み相談になるときもあります。それでも良しと私は思っています。それも含めての地域医療だと思うからです。
 もちろん病気に関しては、しっかり診させていただきますが、高齢になると生活の悩みや、先々の不安などを話す方も多く、そういう訴えにもうまく対処できるようになりたいと思っています。それが、当院の理念である“島民の皆様に愛され信頼される病院”になるひとつの方法だと思うからです。
 今年度からは、看護師やリハビリスタッフも医療講話に参加してくれることになりました。これからもどんどん地域に出ていって、島民の皆様と交流を深めることで、「種子島医療センターがあって良かった」と言っていただけるような病院にしていきたいと思います。

 もし、職員の中で私も参加したいという方がおられればご連絡お待ちしています!


令和7年7月
理事長 田上 寛容